てげてげ日記

YASU@日記的生活

VIVANT

最近の日曜日のお楽しみは、午後9時からの日曜劇場『VIVANT』(TBS系)。今期唯一、第1話から観続けているドラマだ。正直言って、いくぶん大味で、粗が多く、あちこちで瑕疵が目立つ、お世辞にもよく出来たドラマとはいえない。

まず主人公が「信用ならない語り手」で心情が読めなく感情移入が出来ない。どこに軸足をおいて物語を見たらいいのかわからない(ちなみに自分は公安の野崎の視点で観ている)。だが、なぜか惹きつけられるのよ。不思議な中毒性があると言っていい。

全編にちりばめられた謎と伏線、毎回のようにラストに訪れるどんでん返し、視聴者が熱狂し考察したくなるような数々の仕掛け。作風はまったく似てないが、デヴィット・リンチのテレビシリーズ『ツインピークス』のような感じと言おうか。

第1話では『西部警察』を彷彿とさせる派手なカーチェイスをしたかと思えば、第2話では『大脱走』のような逃亡劇、第3話では『ミッション・インポッシブル』のような潜入スパイアクション、第4話ではハードボイルドなクライムサスペンスといったように、各話のテイストも猫の目のようにくるくると変化する。そう、映画への愛も横溢している。

今夜は大詰めの第8話。仲間への裏切りを代償に敵のアジトへの侵入を果たした主人公だが、今回は説明回といった印象。敵の財務状態から組織の実態を炙り出す。主人公の謎解きの過程が、膨大なモノローグを中心にテンポ良く展開する。ここは堺雅人の面目躍如と言ったところ。『半沢直樹』的(笑)

これまでのような動きがない分、やや単調に思えた。あと2話で風呂敷を閉じなくてはならないから、敵(テントというテロ組織)の実態についてサクサク謎解きを進めたい作り手の事情が垣間見えて、やや興ざめ。明らかにペース配分がおかしい。

そんな訳で今回はあまり乗れなかった。とはいえ、結末や謎が気になるので最後まで見るだろう。本当に雑なのか緻密なのかよくわからない作品だ。名作というより怪作というべきだろう。